物語り・その12

物語り その12

石炭紀からペルム紀の初めの「高酸素」の時代、その影響は特に昆虫に明確に現れており、翼幅が76センチにもなるとんぼ「メガネウラ」も発見されている。脊索動物の最も緊急の課題は水中以外で卵の胚をどのように成長させるかであり、「羊膜卵」が誕生した。羊膜卵を有する爬虫類が祖先である両生類から区別されるようになり、石炭紀前期が終わる頃には爬虫類が三つの大きな祖先系統、すなわち「哺乳類」、「カメ類」と、後に「鳥類」を生んだ別の「爬虫類」になった。なお、これらは大気中の酸素濃度の影響を受けており、酸素濃度が高いほど胚の成長は速まるし、「胎生」も高酸素環境によって可能になったとする見解もある。
物語り・その11

物語り その11

淡水域に生息していた可能性が高いある種の「緑藻類」の陸地への進出を皮切りに、シルル紀後期からデボン紀初期(約4億年前)にかけての陸上植物の出現は、陸地への最初の進出を促進した。「節足動物」の複数の系統が独自に空気呼吸システムを発達させ上陸した後、両生類(陸で暮らせる魚)の構造は一度で発達したのではなく、二度ないし三度にわたって進化した可能性がある。
物語り・その10

物語り その10

「オルドビス紀」に最も顕著に進化したのは「群体性」の動物であり、しかもそれらが特異であった点は、絶え間ない「多様化」を推進する原動力となったことである。特に注目すべき存在は「サンゴ」、「外肛動物」、そして新種の「海綿動物」であった。地球上の動物の多様化が二部構成で進行したとすれば、第一部はカンブリア爆発であり、オルドビス紀はその第二部に当たるが、どちらのケースも酸素濃度の上昇が原動力であった。
物語り・その9

物語り その9

「節足動物」をはじめとする動物の「門」の多数が初めて登場したのは、約5億3000万年から5億2000万年前という比較的短い期間に集中している。これは「カンブリア爆発」と称されているが、この現象と地殻全体に対する地軸の位置の変化である「真の極移動」との関連性が語られる。
物語り・その8

物語り その8

「酸素の出現」という大変動を経て「真核生物」から「多細胞生物」の出現に結び付いたこと、さらには「スノーボールアース」現象の後、大気中の酸素濃度の増加という、生命史における大革命が生じたことによって「動物の誕生」へと繋がったことが語られる。
物語り・その7

物語り その7

「酸素の出現」という大変動を起こしたのは、「酸素発生型光合成」という生命を生み出すプロセスを実行できた「シアノバクテリア」であった。後にその一部の子孫は他の生物に取り込まれ、現在では植物や藻類の緑色の細胞小器官「葉緑体」として光を集め、全生物の生命維持に貢献している。なお、生物圏が元来有毒である酸素に対処できるようになるまでに、およそ2億年の時間が必要であった。
物語り・その6

物語り その6

生命の誕生に欠かせない条件の一つは、大気中のガスが適切に「還元」されること、すなわち電子が二つずつ加えられて二酸化炭素(CO2)がギ酸イオン(HCOO-)に、さらにホルムアルデヒド(CH2O)となり、続いてメタノール(CH3OH)となり、生命の構成要素となる前駆物質が生成されることである。なお、炭素は固体・液体・気体の状態を絶えず変化させながら海・大気・生物間で活発に循環しており、「炭素循環」は短期的、長期的な二つの異なるサイクルで構成されている。
物語り・その5

物語り その5

アルカリ熱水孔の細孔に生息し、天然のプロトン勾配に依存していた単純な細胞の集団が自然選択により進化し、細菌と古細菌の最後の「共通祖先LUCA」が生じた可能性を示すことができる。地球であろうと、宇宙のどこかであろうと、最も現実的に生命を生成しうる環境は「アルカリ熱水噴出孔」であると考えられる。
物語り・その4

物語り その4

熱力学の原理に基づいて「細胞」を一から作るには、制約のある流通反応システムの中で、反応性の高い炭素と化学エネルギーが原始的な触媒の下で連続的に流れる必要がある。カンラン石が水と反応して形成される蛇紋岩から成る「アルカリ熱水噴出孔」だけが必要な全ての条件を満たしていることが明らかになった。
物語り・その3

物語り その3

エネルギーは生命の進化の要であること、そしてすべての生命体は、ほとんど同様の呼吸鎖を介した「レドックス(酸化還元)反応」でそのエネルギーを獲得し、薄い膜を隔てた「プロトン勾配」という手段によってエネルギー媒体分子である「ATP(アデノシン三リン酸)」の生産を促進することが語られる。