
物語り その25
草食性の蹄のある動物や霊長類は、全て「暁新世・始新世境界温暖化極大期」の開始とともに突然出現し、その後の数千万年にわたる地球の寒冷化と乾燥化によりアジア、ヨーロッパ、北アメリカへと急速に広がった。中でもユーラシアは、人類が栽培化しやすく増加する人口を支えるのに適した野生の草本植物に恵まれるとともに、大陸の位置する方向自体が遠隔地間での作物の普及を大いに促進した。人間が農耕民として定住し文明の道を歩み始めた時、世界各地で家畜化・栽培化できる動植物の分布には偏りがあり、そのため初期の文明の多くは、ティグリス川とユーフラテス川、インダス川、ナイル川、黄河などの大河の土手沿いに出現した。