
物語り その23
新生代の寒冷化とともに東アフリカの森は縮小して草原に変わりホミニンの進化を促し、ミランコヴィッチ・サイクルの歳差運動のリズムが大地溝帯のアンプ湖の水位を目まぐるしく変動させ人類を非常に多芸で知恵のある種に進化させた。おおよそ六万年前、人類はアフリカから各地へ散り始めた。近縁種であるネアンデルタール人とデニソワ人は絶滅していったが、氷床による水の取り込みで海面が低下、大陸棚の大部分が露出したため、人類は南極大陸を除く全ての大陸に定住し、地球上で最も広範囲に生息する動物種となった。火の使用、衣服の作製、道具の製造などの技術を身につけ、熱帯からツンドラまであらゆる気候帯で生活することが可能となった。