
物語り その19
「進化」とは環境が有機体の構成要素を選択するフィルターの役割を果たす作用であり、その有機体では複雑に作用し合う「物理法則」が繁殖の成功を可能にするように最適化される。「細胞」と「進化」は深い結びつきを持っているが、そこには「イオン相互作用」という分子間に働く物理的原理と、「エネルギーを最小限」に抑える傾向があり、それが長い分子の連鎖を「細胞の袋」へと導くのである。他の惑星でも生命は分子を包み込んだ脂質から始まり、巨大な生物へと進化するという同じ旅に出ると推測される。生命の形態がどの段階まで進んでも、その過程全体を制御するのは、細胞内で作用する物理的原理である。